2016
11.25

ネットワークを取り巻く状況1

3月末のNHKスペシャル「映像の世紀」は印象的な内容でした。
今、世界中の人がスマートフォンを所持していて、すぐに動画を撮影し、それを投稿することで世界中の人に発信することができる、その動画を見た大勢の人々が起こす社会的な動きは、ものすごく大きなうねりとなって、国家体制を崩壊させるなどの歴史的な事件を起こすに至っている。さらに、こうした映像、動画の力を知った過激派組織や武装勢力は意図的な映像発信を行い、世界中でのテロにもつながっていくようになっている、という内容でした。
この番組を見て、コンピュータやネットワークがもはや人間のコントロールの効かない状況になりつつあるのではないか、という危惧を感じました。工芸高校では今年度も外部の方にも来ていただいて、SNSの使用の注意などいろいろと学習しました。ネットワーク上の本当かウソか分からない映像や言葉に含まれる悪意が現実の世界に持ち込まれ、憎しみを増幅させて、関係ない人にまで影響を及ぼすという点において、私たちの身の回りで起こるSNSでのトラブルも、過激派の情報操作によって起こるテロも、実は一線上にあるのかもしれません。
コンピュータやネットワーク上の情報は、一面的であることが多く、ものごとのもつ多面性が一切無視され、善か悪か、○か×か、という二者択一の判断となってしまっています。その延長線上に、テロに代表されるような、自分の考える正義のためには、無関係の人まで巻き込んで他人を傷つけてよい、ということが正当化されているのではないか。自分の主義、主張のために何をしてもよいという考え方や、自分の正義のために手段を択ばない状況が、世界を荒廃させ、人々を不幸にしているように思います。
「他の人の心の痛みに気が付くことができる人」であること、「困っている人を助けるために自分から何かをしてあげようとする気持ちがある人」であることは、人間普遍の精神性です。そして、こうした当たり前の人間性や精神性は、知識や教養を身に付けることで、ますます磨かれていき、多くの人に受け入れられる様々な作品やデザイン制作につながるように思います。

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