2016
12.21

文化交流―九州国立博物館にて―

 全日制の修学旅行に同行しました。
 1日目と2日目は天候が思わしくなく、2日目に予定されていた軍艦島見学とイルカウォッチングは中止となってしましたが、それ以外の行程は予定通り実施することができました。
 1日目には九州国立博物館を訪問しました。九州国立博物館は2005年に開館した博物館で、大宰府天満宮の境内から立派なエスカレータで登った丘に建つ素敵な博物館でした。その展示内容は歴史的な視点が強いこと、アジアとの文化交流による日本文化の形成に関する視点が明確に打ち出されていることに特徴があるように感じました。縄文時代から中世の様々な文物が「文化交流展示室」で多数展示されていました。文化交流に視点を当てていることについて、博物館のホームページでは「日本の通史でもなく、九州の地域史でもなく、アジアとの文化交流史。私たちはこの展示室で、日本文化が外来文化の模倣だけでなく、消化し、蓄積して独自の世界を創造してきた道すじを示したいと思う。―中略―4階エントランスに掲げてある『海の道、アジアの路(みち)』。道は文化交流の動脈であり、生命でもある。人・モノ・情報が行き交う交通路であり、中継基地としての都市や貿易港を育んだ世界文明の神経である。陳列品が辿ってきた文化交流の道すじに思いをはせる場を提供することが、当館の文化交流展示室の重要な目的なのだ。教科書で見た名品を辿るのも良し、自分の好みの分野を回るのも良し、自由に、興味のおもむくままに文化交流の道を散歩していただきたい。」とあり、この文言にある通り、日本の古代史から順を追って文化的な発展を遺跡から発掘された遺物で追っていくのではなく、朝鮮半島、中国、琉球、日本国内の諸地域の文化的な相互作用がどのように起こり、変化や発展が起きていったか、そしてそれぞれの地域で独自のものとしてイノベーションが起こっていったかということが分かるような工夫をしていました。
 千葉県佐倉市には国立歴史民俗博物館があって、日本古代に関わる文化的な交流を示す北九州及び島しょの遺跡や発掘された石器、土器、青銅器等の展示を行っていますが(現在、古代史に関わる展示室はニューリアルのため閉鎖中)、九州国立博物館はそうした考え方を文化交流展示室において、全展示で徹底しているように思われます。
 この日、九州国立博物館では、螺鈿(らでん)展を開催していました。螺鈿は奈良時代に中国から日本にもたらされ、漆工芸(もともとは木工芸であったという解説もあります)に貝の内側の真珠質で美しい文様を表現する技法であることは、工芸生の皆さんは私より詳しく先生方から教えてもらっていたり、自分で調べたりして知っていると思います。今回の螺鈿展では、日本の螺鈿工芸作品だけを展示するのではなく、中国や朝鮮、琉球、アジア各地の螺鈿工芸作品を展示することで、螺鈿を通した文化交流に視点が当たるように工夫しているように思いました。螺鈿技法のルーツがどこにあるのかについても、いろいろと研究されているようですけれども、技法が伝わった各国、各地において、その国の人々が好む文様、美しいと感じる文様が表現され、現代に生きる私たちがそれを比べてみることで、螺鈿の発展、変化が感じられることはとても興味深く感じました。

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