2017
02.09

都立工芸生は作品で勝負する

2月も中旬となりました。全日制3年生は卒展の作品制作の最終段階となってきていますし、定時制4年生は卒業課題制作のため、毎日のように学校に来ています。一方、新入生の入学に向けて推薦に基づく入学選抜が終了し、学力検査がまもなく行われます。
そして、卒業する3年生、4年生を除いた在校生は、それぞれ進級して学年が一つずつ進み(そのための課題制作を完成させ)、上級生としての自覚と責任が芽生えてくる、あるいは芽生えてこなければならない時期となってきました。
では、都立工芸の上級生の自覚って何だろう。
それは1年間(あるいは2年間とか3年間とか)、専門家の先生方から他の高校では教わることができない、ものづくりやデザインの知識や技術の指導を受け、人によってはとても苦しみながらも課題制作に取り組み、少しずつであっても知識や技術を自分のものにしてきた、という誇りやプライドではないかと思います。在校生のみなさんは自分が入学したときのことを覚えていますか。都立工芸に入学してくる人たちは、ほとんどの人が絵を描くことが好きで、得意であることが多く、クラスメートの素質と才能に圧倒されたという人も少なくありません。しかし、実際は入学後の専科の実習では、誰もが一からのスタートで、分からないことやできないことを先生から丁寧に教えてもらいながら、試行錯誤して少しずつできるようになってきました。
今ではやっと、イラストレータやフォトショップ、3DCADが思い通りに操作できるようになってきました。金属や木材、アクリルにガラス、粘土、シリコン、石膏、漆、紙、竹、様々な素材を自分の考えた通りの形にできるようになってきました。そのための工作機械や工具、画材道具を使うことができるようになってきました。ガスバーナーが火を噴いていてもどきどきしません。石膏像やキャベツの断面も鉛筆1本で写し取ることだってできるようになってきました。1年経ってみて(あるいは2年間とか3年間とか経ってみて)、「私って思った以上に才能があるんじゃないの」って心の中ではつぶやいている人もいるかもしれません。それはとても良いことで、みなさんの知識や技術が成長したことの証しです。都立工芸生として、工芸ブランドの一員として、作品で勝負することができるようになってきた、ということです。
上級生になるみなさんは、ぜひこの作品で勝負するというプライド、誇りでこれからの学校生活を続けて欲しいです。残念ながら、みなさんの中には作品で勝負するのではなく、自分の外見や見た目、あるいは自分を物質的に飾り立てること、突飛な行動、時にはだらしない生活態度といったことで、自分を他人から差別化し、その方面で勝負しようとする人がいるのではないだろうか、という心配をしています。誤った自己の差別化は、時として正しいプライド、誇りを変質させ、自尊心の肥大化を招き、先生方の指導をきちんと受け止めようとする謙虚な気持ちや、新しいものを取れ入れて自分を進化させようとする意欲をそらしてしまうことになってしまいます。そしてそれが習慣化していくと、修正がきかなくなり、他からの率直な意見を素直に聞き入れることができなくなってしまいます。
都立工芸生は作品で勝負する、それが都立工芸のプライドであり、誇りである、そんなことを公言できる上級生となることを期待しています。

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