2017
02.28

東京マラソンと一体感

2月26日(日)は東京マラソンでした。3万6000人もの人が参加したと報道されていましたが、さらなる驚きは36万人もの人が参加を申し込んだという事実です。実は私もそのうちの一人で、残念なことに今年も抽選から漏れてしまい、参加することが叶いませんでした。
今年の東京マラソンのコースはこれまでのコースから変更があり、臨海副都心を走ることがなくなりました。臨海部のコースではランナーは海からの強風をもろに受けるので、疲労とタイムロスが大きく、へとへとになってゴールに到着していました。今年は大手町がゴールなので風の影響がほとんど無く、優勝者のタイムは国内マラソンの最高記録という好タイムだったそうです。
マラソン参加はできませんでしたが、ランナーたちがどんな様子で走っているかを見に行きました。マラソンコースの車道は、3万6000人のランナーがびっしりと列をなして走り、沿道の歩道にも多くの応援の人たちが並んでいました。ランナーたちの中には、今年も色とりどりの衣装やコスチュームを着たり、キャラクターの帽子をかぶったりするなど、タイムよりも東京マラソンに参加できたことを喜び、楽しんで走ることを表現している人が大勢いました。沿道の応援からは、そうした目立つランナーが通り過ぎると必ず「ミスタービールがんばれ!」(泡立ったビールの形の帽子をかぶったランナーが通り過ぎたとき)、「ピカチューがんばって!」(ピカチューの帽子をかぶり、それらしいランニングシャツを着たランナーが通り過ぎたとき)と声がかかりました。目立ったキャラクターの格好でなくても、疲れて歩いてしまっているランナーや、顔をしかめてつらそうにしているランナーにも、沿道から盛んに応援の声がかかっていました。また、沿道の人の中には、特定の応援対象に限定したわけではないドリンクや食べ物を用意して、ランナーに提供している人もいて、マラソンを通した一体感のようなものが、ランナーと応援をしている人との間に生まれていました。
こうした大きなイベントを通して感じられる一体感は、今この時代ではなかなか得難いものなのかもしれません。地域社会に強い連帯感があり、お祭りの神輿を幼なじみとずっと一緒に担いでいるような場所で育ったのであるならば、社会や他人との一体感は日常的に感じられることでしょう。でも、私たちは地域のお祭りに積極的に参加することも少なく、お隣に住んでいる人の名前も知らないことも珍しいことではありません。そんな状況の中で、見ず知らずの人と仮に同じ東京に住んでいるからといって、一体感をもつことはあり得ないと考えても不思議ではないでしょう。
東京マラソンに参加していた人たちと、沿道で応援していた人たちとに生れた一体感はほんの一瞬であったかもしれません。しかし、その場にいるだけで自分が社会を構成している一人であることを実感できたような気がします。社会的に孤立してしまう人や、一人暮らしの人の孤独化が問題となっている中で、社会的な大きなイベント、特に3年後にやってくる東京2020オリンピック・パラリンピックが大勢の人の孤立化や孤独化を救うことができるかもしれない、そんなことを思いながら東京マラソンのランナーたちを見ていました。

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