2017
03.24

「思い」を形にしてください

今日は修了式では、皆さんに来年度の作品制作のお願いを話したいと思います。
東日本大震災のときに皆さんは何年生だったですか。小学生だった人が多いのではないかと思います。震災直後のテレビのコマーシャルは、ほとんどのスポンサーが自粛していたため、ACジャパン広告機構のCMしか放送されないような状況だったのを覚えていますか。
ACジャパン広告機構のCMは何種類かあったように思いますが、その中でも、
「「こころ」は だれにも見えないけれど 「こころづかい」は見える
 「思い」は 見えないけれど 「思いやり」は だれにでも見える」
というCMがあったのを覚えているでしょうか。実は私も忘れていたのですが、調べものをしていて、たまたまこの言葉の出典である元の詩に行き当たり、ああそういうCMが流れていたなあということを思い出しました。オリジナルは宮澤章二という詩人の「行為の意味」という詩です。ちょっと読んでみます。

行為の意味
—–あなたの<こころ>はどんな形ですか
と ひとに聞かれても答えようがない
自分にも他人にも<こころ>は見えない
けれど ほんとうに見えないのであろうか

確かに<こころ>はだれにも見えない
けれど<こころづかい>は見えるのだ
それは 人に対する積極的な行為だから

同じように胸の中の<思い>は見えない
けれど<思いやり>はだれにでも見える
それも人に対する積極的な行為だから

あたたかい心が あたたかい行為になり
やさしい思いが やさしい行為になるとき
<心>も<思い>も 初めて美しく生きる
—–それは 人が人として生きることだ

宮澤章二は他にも数多くの作品を残した詩人だそうですが、一番に有名なのは「ジングルベル」の歌の歌詞ではないかと思います。
ところで、都立工芸では授業で作品のプレゼンを行なうことが多く行われていますね。特に卒業学年になると、各科では課題研究のプレゼンを行なっています。今年度末、各科で行われたこうした課題研究のプレゼンの中に、工芸高校の先生やクラスメート、先輩や後輩に「感謝の思い」を作品の形にしたいと考えた、というものがありました。いろんなことを教えてもらった、苦しいとき、つらいときに支えてもらった、工芸祭でお世話になった、こうしたことに対しての「感謝の思い」をぜひ作品として表現したいと考えて、この作品をつくりました、と言うのを聞き、すばらしいことと感心しました。
そこで皆さんへのお願いになるのですが、皆さんが進級して作品制作をしていくにあたり、ぜひ何かどこかで、誰かに対しての「感謝の思い」を形にすることにも取り組んでほしい、ということをお願いしたいと思いました。もちろん皆さんの中には自分がつくりたいものがはっきりしていて予定ができている人もいると思いますので、可能な限りで結構です。制作の中には一つでもそうしたことに取り組んでもらえるといいなあ、と考えました。宮澤章二の詩では「思い」は見えない、とありますが、皆さんは「思い」を形にして見ることができるものとすることができる。それは工芸生のとてもすばらしいところでもあると考えます。
4月になると新入生も入学してきます。短い春休みですが、この期間にエネルギーをためて、新年度に向けてよいスタートがきれるように準備をお願いします。

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