2017
06.07

給食の献立

定時制給食の献立を作ってくださっている栄養士の松永先生が、「給食に枇杷(びわ)を出したところ、皮の剥き方が分からない生徒が大勢いて驚きました。枇杷そのものも知らない生徒もいました。」とお話くださいました。
子供の頃、近所の家の庭に大きな枇杷の木があって、初夏になるとオレンジ色の実がたくさんなりました。その家のおじさんはいつも子供たちに「食べていいよ」と言うので、時々勝手に庭に入ってもいで食べていましたが、甘い実にあたるとは限らないので、子供心には正直美味しいという印象はあまりもちませんでした。その頃は、枇杷だけではなく原っぱの野イチゴの実を食べたり、ツツジの花の蜜を吸ったりして、何でも口に入るものをいろいろと食べていたように覚えています。
現在、スーパーマーケットのフルーツ売り場では、枇杷はよく見かける果物ではなくなっているのかもしれません。フルーツ売り場で多くの人の目に止まるのは、アメリカ産のオレンジやグレープフルーツ、ニュージーランド産のキュウイ、メキシコ産のメロンやマンゴー、フィリピン産のバナナやパイナップルといった輸入品ばかりです。これらの輸入フルーツは見栄えもいいし、安く販売されています。国産のフルーツはミカン、リンゴ、ブドウ、イチゴといった限定されたものとなり、しかも輸入品と差別化を図るため、ブランド化して高級品となっています。
近所のおじさんの家の庭に入って枇杷を食べることができるのは、1年間のうちの限られた時期でした。草むらの中の野イチゴを食べられるのも、春先のほんの短い時期でした。当り前のことではありますが、果物には実がなる時期が決まっています。そして果物だけではなく、野菜にも収穫の時期があり、私たちは果物や野菜から季節を感じ取っていました。日本は南北に細長く四季がはっきりしていて、その季節ごとに収穫され、食べることができる食材がはっきりしています。野菜や果物ばかりではなく、魚だって収穫できる時期が決まっています。初ガツオを珍重した江戸っ子からすると、一年中いつでも野菜や果物、魚を手に入れて食べることができる現代人の生活はうらやましいかもしれません。しかし、私たちの食卓が多量の輸入品によってまかなわれるようになった結果として、季節に対する感性は確実に後退しています。
スーパーマーケットのフルーツ売り場で、私たちは年間を通して季節と無関係にバナナを安く購入できます。(最近バナナの病気が流行ってきているため、高くなったという新聞記事を読みましたが)初夏にしか食べることができず、しかも1パッケージ6個入りで500円もする枇杷を手に取ることは稀であるかもしれません。しかし、そうした時代だからこそ、逆に季節を意識して食べるものを選ぶ必要があります。
スーパーマーケットの生鮮食品売り場をぜひのぞいてください。よく探せば多くの果物や野菜が季節限定の食材として陳列していることでしょう。そうした季節限定の食材をよく見て覚えたら、今度は給食の献立をよく見てください。給食の献立が栄養面だけでなく、季節感をはじめいろんなことに配慮されていると気が付くと思います。

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