2017
09.07

この秋にお薦めの小説

以前このブログで、ケン・リュウの紹介をしました。中国生まれでアメリカに在住しているSF作家で、第二次大戦後の中国の経てきた歴史と人々の負った傷を作品に反映させているということを書きました。
さて、この夏休みに私が読んだ小説で良かったのは、東山彰良の「流(講談社文庫)」という小説です。主な舞台は台湾です。主人公の祖父は中国山東省で国民党の兵士として、共産党と国民党との抗争に際して様々な残虐行為を行い、その後、共産党に追われて大陸から台湾に渡ったという設定になっていました。主人公はその祖父の死をめぐって真実と自分のアイデンティティをその後の人生で求め続ける、という話になっています。
この小説は作者の東山彰良自身の家族の歴史を小説化したということです。作者の家族ようにアジアの大きな戦争や歴史の流れによって、大陸と台湾、あるいは大陸と半島、日本と大陸、日本と半島を流されて行ったアジアの人たちは大勢いたと思います。東山彰良は山東省から台湾に祖父の代に渡って来て、自分自身は子供の時に日本にやって来たということです。
第二次世界大戦は70年以上も前のこととなりました。アジアで起きたことを、私たちは何も知りません。それどことか関心ももっていないことが多いです。しかし、それではいけないということを痛切に感じさせる小説でした。

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