2017
10.02

社会的自立

工芸高校は女子生徒が多い学校です。全日制は全体の80%は女子生徒で、年によっては男子がクラスに2、3名ということもあります。定時制もM科だけは男子が多いですが、他の3つの科は定時制としては女子が多いです。
さて、日本の社会は「男社会」で、女性の社会進出が遅れていると言われています。これはいろんな理由が考えられますが、特に第二次世界大戦後だけを注目して考えると、経済成長の中で、男性が社会で働き、女性が専業主婦として家庭を守る、という役割分担が行われていたことが大きな理由となっています。私が20代の頃に、女性の理想の結婚相手を表すことばとして、「3高」ということばが生まれました。高学歴で、高収入、しかも背が高い男性を指して言い、そうした男性と結婚することが女性の幸せであるように言われました。こうしたことばが生まれるということは、女性が就職して会社等組織の一員としてバリバリと働くよりも、結婚して家庭を守ることが大切であるという考え方が強かったことが背景としてあります。今でもこうした考え方が根強く残っていて、昨年などは地方議会で女性議員に対してやじを飛ばした男性議員が問題視されたこともあり、女性が社会の第一線に出て働くことに抵抗感がある人達がいるのも否定できません。
しかし、状況はこの10年、20年で大きく変わってきました。少子化高齢化が進む中で労働力としての女性が期待されているということがありますし、「3高」の男性がほとんどいなくなった、という現実的な問題もあります。高学歴で背が高い男性は今でもいますが、高収入であり続けることは保証されない社会に日本がなったということです。日本経済がとても強かった時代は、いい大学を出ていい会社に入れば、年功序列でそのまま収入が下がることがありませんでした。だから男性が会社で働き、女性が専業主婦である社会的構造が成り立ちました。
 残念ながら、現在はいい大学を出たとしても、いい会社に入れるとは限りません。いい会社に入っても、年功序列ではありません。いい会社がずっといい会社であり続けるわけでもありません。こうした状況では、男性、女性関係なく、誰もが社会的に自立することが求められていると言えるでしょう。しかし、社会的必然性云々を考えるよりも、何よりも社会的に自立することは、自らのアイデンティティをきちんともつことであるということです。社会の一員として自立することは、自尊心をもつ、自分自身に誇りを感じる最も大事なことです。
では、どんな職業に就いて、どのように社会的な自立を図っていくのがよいか。やっかいなことですが、これには定まった答えはありません。工芸高校では全定各科で、先輩や講師をお招きして進路やオリパラ、保健に関する講演会を行っています。こうした方々の話を聞いて、生徒諸君で自分の答えを見つけてください。工芸を卒業したら進学するのか、就職するのか、進学先は大学なのか、専門学校なのか、就職であればどんな会社がよいのか、人それぞれに正しい答えがあります。工芸高校の卒業生は、専門職、あるいは専門的な知識や技能を必要とする職業に就いていることが多いようです。長く勤めることができ、専門的な知識や技能が必要なので社会からいつでも必要とされている、そういう職業選択ができるがよいと考えています。

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