2017
11.24

ドゥシャン カーライについて

スロバキア大使館にて、ドゥシャン カーライというスロバキアのアーティストについての講演がありましたので、聞きに行きました。お話してくださったのは、千葉県内の高校の美術の先生である江森清先生で、長年ドゥシャン カーライと親交があり、毎年のようにカーライ宅に泊まりに行き、カーライの作品を蒐集している先生でした。
カーライは世界的には絵本画家として知られていて、日本においても絵本画家として紹介されているようです。例えば新潮社から出版されているのは、カーライが挿し絵を描いた「不思議の国のアリス」ですし、1988年に国際アンデルセン賞を受賞しているなどにより、その名が知られたという経緯もあります。
しかし、カーライの創作活動は、ファインアートからデザインまで、きわめて多岐にわたっていて、絵本画家といった限られた世界のみではないことが、お話を聞いてとてもよく分かりました。現代のクリエイターやデザイナーは、創作活動が旺盛であればあるほど、様々な分野に活動の幅を広げるように、カーライもいろんなことに貪欲に取り組んできたようです。
カーライの彩色画は細い筆を用いて、細かいタッチで彩色していく技法で、スーラのような新印象派の点描の考え方に近いそうです。また、版画に関しては、木版、銅版、リトグラフ、シルクスクリーンなどあらゆる版画作品を制作していて、さらに、スタンプや切手などのデザインも手がけているとのことでした。
私はカーライのことをこれまで全く知りませんでした。カーライだけでなく、私たちは東ヨーロッパのアートやデザインが、どんな状況にあるかほとんど知識がありません。そのことをスロバキア大使館の人に話したら、スロバキア人も日本のことをほとんど知らない、という返事が返ってきました。
講演の後は、親睦パーティでしたので、スロバキア大使館の人たちに、カーライに対するのスロバキアの人たちの受け止め方を聞いてみたところ、ある人は、カーライは伝統的なスロバキアの文化を継承しているアーティストである、しかし、今の若者は世界で受け入れられるようなアートやデザインを好んで制作していて、カーライのようなアーティストは減っている、と言いました。別の人は、カーライは伝統的なアーティストではなく、独特な表現方法を選択して創作活動を行っていて、想像力による独自な世界を作り出した作家である、シュールレアリスムの影響を受けているのではないか、と言いました。(これらの会話は英語で行われたので、私の拙い英語力では、正しくはその人がそう言った気がする、というレベルです。)
ただ言えることは、カーライはとても勤勉なアーティストで、細かく根気がいる作業(デザインやドローイング、デッサンといった工芸の生徒が毎日行っている実習と同じもの)を全く厭うことなく、創作を続けているという事実です。

12月15日(金)から工芸高校図書室で、ドゥシャン カーライ展を行います。江森先生が所蔵するコレクションの一部を展示します。興味がある工芸生は見に来てください。12月21日(木)までやっています。

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