2月26日(日)は東京マラソンでした。3万6000人もの人が参加したと報道されていましたが、さらなる驚きは36万人もの人が参加を申し込んだという事実です。実は私もそのうちの一人で、残念なことに今年も抽選から漏れてしまい、参加することが叶いませんでした。
今年の東京マラソンのコースはこれまでのコースから変更があり、臨海副都心を走ることがなくなりました。臨海部のコースではランナーは海からの強風をもろに受けるので、疲労とタイムロスが大きく、へとへとになってゴールに到着していました。今年は大手町がゴールなので風の影響がほとんど無く、優勝者のタイムは国内マラソンの最高記録という好タイムだったそうです。
マラソン参加はできませんでしたが、ランナーたちがどんな様子で走っているかを見に行きました。マラソンコースの車道は、3万6000人のランナーがびっしりと列をなして走り、沿道の歩道にも多くの応援の人たちが並んでいました。ランナーたちの中には、今年も色とりどりの衣装やコスチュームを着たり、キャラクターの帽子をかぶったりするなど、タイムよりも東京マラソンに参加できたことを喜び、楽しんで走ることを表現している人が大勢いました。沿道の応援からは、そうした目立つランナーが通り過ぎると必ず「ミスタービールがんばれ!」(泡立ったビールの形の帽子をかぶったランナーが通り過ぎたとき)、「ピカチューがんばって!」(ピカチューの帽子をかぶり、それらしいランニングシャツを着たランナーが通り過ぎたとき)と声がかかりました。目立ったキャラクターの格好でなくても、疲れて歩いてしまっているランナーや、顔をしかめてつらそうにしているランナーにも、沿道から盛んに応援の声がかかっていました。また、沿道の人の中には、特定の応援対象に限定したわけではないドリンクや食べ物を用意して、ランナーに提供している人もいて、マラソンを通した一体感のようなものが、ランナーと応援をしている人との間に生まれていました。
こうした大きなイベントを通して感じられる一体感は、今この時代ではなかなか得難いものなのかもしれません。地域社会に強い連帯感があり、お祭りの神輿を幼なじみとずっと一緒に担いでいるような場所で育ったのであるならば、社会や他人との一体感は日常的に感じられることでしょう。でも、私たちは地域のお祭りに積極的に参加することも少なく、お隣に住んでいる人の名前も知らないことも珍しいことではありません。そんな状況の中で、見ず知らずの人と仮に同じ東京に住んでいるからといって、一体感をもつことはあり得ないと考えても不思議ではないでしょう。
東京マラソンに参加していた人たちと、沿道で応援していた人たちとに生れた一体感はほんの一瞬であったかもしれません。しかし、その場にいるだけで自分が社会を構成している一人であることを実感できたような気がします。社会的に孤立してしまう人や、一人暮らしの人の孤独化が問題となっている中で、社会的な大きなイベント、特に3年後にやってくる東京2020オリンピック・パラリンピックが大勢の人の孤立化や孤独化を救うことができるかもしれない、そんなことを思いながら東京マラソンのランナーたちを見ていました。
都立工芸高校に入学してくる人たちは、将来デザインやものづくりの職業に就きたいとか、ゲームやアニメに関係する仕事をしたいとか、あるいは漫画家や絵描きになりたいと考えていて、はっきりとした夢や希望をもっていることが多いです。現に卒業生にはそうした世界で活躍している人が大勢いるので、現役の生徒たちも卒業生の話を聞いて、夢や希望を叶えるための道筋を描きやすいです。私は、都立工芸に入学し、卒業していく人たちみなさん全員が、それぞれの夢や希望を叶えて欲しいと心から願っています。
さて、現在の日本の社会では、長時間労働が解消されない、労働賃金が上がっていかない現状があります。人手不足のために、長時間労働を余儀なくされる、アルバイトや派遣労働であるために、なかなか賃金が上がっていなない、という話はいろんなところでよく聞きます。国には最低賃金制度という制度があります。最低賃金法に基づき最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。最低賃金には、各都道府県に1つずつ定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。ちなみに東京都の最低賃金は高くて、1時間の賃金が932円ですが、隣の千葉県では842円ですし、埼玉県では845円です。この地域別最低賃金は特例により減額が認められることがありますが、原則すべての労働者に適応されるものです。こうした制度により労働者の権利が守られているはずではあるけれども、なかなか長時間労働が改善されない、あるいは賃金が上がっていかないのはなぜでしょうか。
一つは、就業の構造そのものが、長時間労働と低賃金によって支えられたシステムになってしまっているということです。会社は、同業種他社との競争のため、価格を低く抑えなければ生き残れないようになりました。特に一時期、いろんな業種で価格破壊が進み、廉価でサービスや商品が売り出されたために、人件費を極限にまで抑える状況が加速しました。あらゆる業種で正社員や正職員の割合が低下し、派遣会社からの臨時雇用の社員や職員が大勢働くようになりました。こうした臨時雇用の労働者は会社側から言えば、雇用を短期間で打ち切ることができるし、人件費を低く抑えることができる社員です。働く側から言えば、いつ雇用を打ち切られ別の会社に派遣されるか分からず、仕事に慣れたところで別の会社に行けば新しい人間関係と仕事内容を習得しなければなりません。理不尽さに我慢している人も少なくないのではないかと思います。
もう一つは若者が集まる人気が高い職業と、そうでない職業とに仕事が分かれるようになってきているということです。若者が集まって来る人気の高い職業の場合、会社側から言えば代わりの若い社員はいくらでもいるので、長時間労働でがんばっている若者の労働条件を改善する必要性は感じられない、また、賃金が高くなるようであればさらに若い希望者を代わりに雇って人件費を安く抑えることができるということです。みなさんの中で何人もの人がやってみたいと考えているゲームクリエイターの仕事は、希望者が多数いて人手に全く困っていません。会社の数も限られていて過当競争に陥っていますし、国際競争も激しくなってきています。そんな中で、みなさんの中でどうしてもゲームクリエイターになりたい人が、やっとそういう業種の会社に就職できたとしたら、仕事がどんなに長時間労働であっても、残業代がつかず低賃金であっても、がんばって仕事をしてしまうだろうと思います。こうした構図が社会のいたるところで起こっているように感じます。こうした構図や社会的な状況がみなさんのもつ夢や希望を食いつぶしかねない、そんな心配をしています。
若いうちはいろんな経験をして修行し、社会の荒波にもまれながら自分を鍛えていかなければなりません。就職すれば最初の何年間かは見習いで、お給料をいただけるだけで幸せで、電話の取り方やお茶の出し方からできるようにならなければなりません。上司のかばん持ちでお得意様をまわり、元気よくあいさつしていつも機嫌よく応対することが求められます。残業をいとわず接待要員として駆り出されたり、ほとんど徹夜で納期を守るために作業をしたりしなければならないこともあります。
自分がやりたい仕事に就くために努力をすること、就職したら全力でがんばることは当然ですが、自分をすりつぶすような勤め方があってはなりません。仕事で通じて自分の夢や希望を叶えること、仕事をすると創造性や感性がますます磨かれるようになること、そんな職業選択を行ってほしいと思います。
川崎市が主催する『第21回かわさき産業デザインコンペ(高校生部門)』にデザイン科の2年生が応募し、4名の作品が入賞しました。 「〇〇 × 潤す ~あなたにとって潤いとは?~」というテーマで、生活の中の「潤い」(心が豊かになる、満たされること)について考え、もっと潤ってほしいと思うところを改善するようなモノ・コトのアイデアを提案しました。 【優秀賞】 伊木 ひづる さん、 松田 莉奈 さん 【入賞】 川原 春萌 さん、 佐久間 怜亜 さん 以下のサイトから、入賞作品等をご覧になれます。(外部サイトが開きます) かわさき産業デザインコンペ入賞作品一覧     毎年グラフィックアーツ科では第3学年グラフィックアーツ実習で制作しました企業広告・商品広告ポスター作品のご講評を各企業の皆様から頂いております。今年度も多くの企業の皆様にご協力を賜りました。あらためて御礼申し上げます。ご講評につきましては東京都美術館(上野)で開催いたします卒展で作品と共に展示いたします。どうぞお足をお運びください。 企業講評の様子をご紹介いたします。 ・トワテック株式会社 様 本社にて トワテックのtwiiterでも取り上げられました。 (リンクをクリックするとトワテックtwiiterが別ウインドで開きます) ・株式会社三省堂 デザイン室 様 本校にて ・株式会社リンクライン 様 「第83回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2017」会場にて 2017年3月に個別対応できるスケジュールを記載した、 校内見学のカレンダーを掲載しました。ご覧ください。 見学希望の方は、必ず事前に電話でご予約をお願いします。 カレンダーの○がついている時間帯が見学可能日です。カレンダーの画像をクリックすると別ウインドで大きく表示されます。 校内見学のご予約やお問い合わせは、 電話:03-3814-8755(代表)で 9:00~17:00まで受け付けております。(休日・祝日を除く) 日本には古来「言霊(ことだま)」という信仰がありました。全ての言葉には「霊」が宿っていて、良い言葉には良い霊が宿っており、悪い言葉には悪い霊が宿っていると信じられていました。だから、健康を祈ったり無事を祈ったりするときには、良い言葉をたくさん言い、多くの恵みをもたらすように大地にお願いするためには、高い山に登って良い言葉を大地に投げかける、ということが行われていました。 良い言葉を大地に投げかける代表的な例が、万葉集1巻の2番目にあります。 『天皇の、香具山に登りて望国(くにみ)したまひし時の御製歌 大和には 郡山(むらやま)あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見(くにみ)をすれば 国原は 煙(けぶり)立つ立つ 海原(うなはら)は 鷗立つ立つ うまし国そ 蜻蛉島(あきづしま) 大和の国は』 という舒明天皇の歌です。 舒明天皇は7世紀前半の天皇で、初めての女性天皇である推古天皇の後を引き継ぎました。舒明天皇の子供には大化の改新の中心となった中大兄皇子(天智天皇)や、壬申の乱後に即位した天武天皇がいます。 天の香具山(あまのかぐやま)は天から降りてきた山ともいわれる大和の国の最も格式の高い山で、小倉百人一首の持統天皇「衣ほすてふ天の香具山」の歌でもお馴染みだと思います。天の香具山から大地を見渡して、舒明天皇は「大和の国はすばらしい国」と歌を詠み、良い言葉を投げかけると、その言霊の力で大和の国が素晴らしい国、恵みをもたらしてくれる大地となると信じられていたのです。 こうした言霊を信じる傾向は現代に生きる私たちにも継承されています。幸せや健康を願うために、良い言葉を自分自身に言い聞かせる、あるいは相手に伝えようとする、不幸が起きないように悪い言葉を使わないようにする、そういったことは日常的に私たちが行っていることです。確かに良い言葉、特に心のこもった言葉を相手か言われると、心は和みますし、癒されるように感じられます。人間は言葉によって癒され、救われる生き物であるのでしょう。逆に心無い言葉や悪意がこもった言葉に私たちは簡単に傷つきますし、時には立ち直れないほどのダメージを受けることもあります。こうしたことを考えていくと、言葉にはとても強い力があると考えてよいのではないでしょうか。 さて、言葉の力について印象的な本を最近読みました。国谷裕子「キャスターという仕事(岩波新書)」です。著者の国谷さんはNHKのクローズアップ現代のキャスターを1993年から実に23年間も務めた方です。もともと日本のテレビの報道番組の中において、キャスターという仕事は確立されていませんでした。ニュースはアナウンサーがニュース原稿を正しく正確に読むものであったものでした。それをアメリカ等の報道番組の影響により、「ニュースセンター9時(NHK)」や「ニュースステーション(テレビ朝日)」などが放映され、人気を博して新しいキャスターという仕事と、そのスタイルができ上がっていったように思います。 この著作の中で国谷さんは繰り返し言葉の力、言葉の役割について述べられています。例えば、 『「言葉の力」を信じることがすべての始まりであり、結論だった。テレビの特性とは対極の「言葉の持つ力」を大事にすることで、映像の存在感が高まれば高まるほど、その映像がいかなる意味を持つのか、その映像の背景に何があるのかを言葉で探ろうとしたのだ。私はキャスターとして「想像力」「常に全体から俯瞰する力」「ものごとの後ろに隠れている事実を洞察する力」、そうした力の持つことの大切さ、映像では見えない部分への想像力を言葉の力で喚起することを大事にしながら、日々番組を伝え続けることになった。』 とあります。映像を伝えることがテレビにとって重要な機能であるにもかかわらず、むしろ映像で映し出されたことの意味を説明できるのは言葉しかない、まして、映像に映し出されないけれども重要な意味をもつ部分を表現できるのは言葉しかない、言葉には目で見ることができないことを喚起する力をもっている、と国谷さんは言っています。 こうした言葉の力への自覚は、キャスターといった仕事に携わらない人間にとっても重要なことです。私たちは目で見えることばかりで物事を判断したり、感情を動かされたりしているわけではありません。目で見えないけれども、感覚で感じていることを目に見えるようにすること、相手のことを思いやりその心をすくい取ってわかるようにすること、そうしたことができるのは、言葉の大きな役割であるように思います。そして言葉で、目に見えない心や思いを形にして発することにより、大勢の人を癒すこともできるのです。 目に見えない思いや心を形にする作業は、ものづくりやデザインも同様であるかもしれません。ものづくりやデザインの際に細心の注意を払って、思いや心を形にしていく作業を行っているみなさんは、日頃ぞんざいに使っていたとしても、あらためて言葉のもつ力を考えてもいいように思います。 インテリア科 「技能検定3級 家具製作(家具手加工作業)」 平成29年2月4日、国家検定「平成28年度 技能検定3級 家具製作(家具手加工作業)」の実技試験が、本校地下1階インテリア科木工組立室を会場として実施されました。本校からも全日制インテリア科2学年生徒および1学年生徒、合計16名が受検しました。この日までに、第一線で活躍する家具職人の方を講師に迎え、放課後や休日などの時間に指導をしていただき、練習に練習を重ねて、本番の試験に臨みました。事前に受検した学科試験を含めた結果として、3月10日(金)に合否の発表があります。   全日制5学科の3年生による「2017卒展」を下記の日程で開催いたします。 【開催日】   平成29年3月3日(金)~ 5日(日) 【開催時間】   9:30~17:30(入場は17:00まで) 【会場】   東京都美術館 ロビー階 第3展示室 東京都台東区上野公園8-36(上野公園内)   JR上野駅公園口より徒歩10分   工芸生の3年間の集大成がここにあります。ぜひ会場でご覧ください。 皆様のお越しを心よりお待ちしております。 (2月20日にDMデザインについて訂正修正しました)   卒展DMデザイン デザイン科3年 廣川 萌郁さん 吉田 萌菜 さん   2月15日(水)に、アートクラフト科恒例の卒業生を送るイベント「糸鋸レース」を行いました。 各学年2チーム(1チーム5人)計6チームの選抜メンバーが、糸鋸を使って、真鍮板を魚の形に切り抜く速さを競いました。 結果は3年生チームが見事優勝!3年間授業で磨いた技術で頑張りました。 選手も応援する生徒も皆大いに盛り上がり、卒業間近の楽しい思い出作りができました。 春が近づいてきました。   風邪などに負けず、卒業・進級を目指しましょう。   平成29年3月給食メニュー